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チャウチャウは青い舌を持つ謎多き古い犬種

この記事の目次

昭和の頃は時折見かけることのあったチャウチャウ――。 いまやすっかり見なくなったなぁ、と思っていましたが、なぜか2014年あたりからまたジワジワとジャパンケネルクラブ(JKC)への登録数が増えています。

ブサカワブームが人気復活の要因?

2000年から20013年ぐらいまでは年間の登録数が40頭前後で推移していたのに、ここ数年は毎年150頭を超えているんですよね。 パグやフレンチブルドッグには遠く及ばないものの、もしかしてブサカワブームによる影響がチャウチャウにも及んだのでしょうか。

まあ、真偽のほどはともかく。 チャウチャウのブサイクっぷりは、パグやフレンチブルドッグの比ではありません。 これ、悪口ではないですよ。 ぶちゅっと潰れた顔には実に何とも言えない味わいがあり、どうせブサカワを極めるなら、ここまでいってほしいと思えるブサカワ、それこそがチャウチャウの個性的な容姿です。

謎多きチャウチャウのルーツ

チャウチャウのルーツには諸説あり、これこそが正解だ!と叫べる確証がありません。 しかし、すべての説に共通していること。 それは、チャウチャウがものすごく古い犬種であることです。

さかのぼること、なんと紀元前。 おおむね2000年ほど前から存在していたのではないかと推測されていますが、説によっては3000年以上前の超古代犬ではないかと考えるむきもあるぐらいです。

いずれにしろ、チャウチャウの起源は中国にあり、地犬(代々その土地にいた犬)と何かが交雑して出来上がった犬種ではないかと考えられているんですよね。 その「何か」の部分がサモエドだったり、チベタン・マスティフだったり、中国系のスピッツだったり、チャイニーズシャーペイだったり、すでに絶滅した古代犬ハン・ドッグ(中国漢王朝の頃の犬)だったりするわけです。

いったいチャウチャウとは、どういう犬種が交雑して出来上がった犬なのでしょうか。 たとえば、単純に顔立ちだけを見た場合、正直なところチャイニーズシャーペイが有力なような気もします。 そもそも、サモエドに関してはロシア以外の土地へ流出した時期がチャウチャウの出現とは合わないということから仮説が否定されていますし。 だったら顔がそっくりなのだし、チャイニーズシャーペイ説でよいのでは?と単純に考えたいところです。 ところが、DNAを分析したところ、チャイニーズシャーペイより秋田犬と遺伝的距離が近いことが判明し、チャウチャウの謎は深まるばかりとなっているんですよね。

謎多きチャウチャウの青い舌

チャウチャウの持つ身体的特徴。 それは、舌の色がピンク色ではなく、青黒い色をしていることです。

青黒い舌、と聞いて甲斐犬などの舌斑(ぜっぱん)を想像したかたもいらっしゃるかもしれません。 舌斑はピンク色の舌に紫色のまだら模様がついた状態ですが、チャウチャウの舌は全体的に青黒い色に染まっています。 言うなれば、年中チアノーゼ状態みたいな色なんですよね。

チアノーゼとは、血液中の酸素が欠乏した結果、舌や歯茎、粘膜などが青黒くなること。 しかし、チャウチャウの青黒い舌はチアノーゼとはまったくの無関係です。

ちなみに、顔や雰囲気がよく似ているチャイニーズシャーペイの舌も青黒。 つまり、チャウチャウとチャイニーズシャーペイは親戚関係にあると考えるのが普通のような気もするのですが、そこにDNAが立ちふさがってくるんですよね。 あくまでも仮説ベースとしては、絶滅した超古代犬ハン・ドッグの舌が青かったのではないかと推測されていますが、ハン・ドッグがすでにこの世にはいない以上、真実はわからないままです。

ちなみに、チャウチャウの舌も子犬時代はピンク色をしているんですよね。 ところが成長とともに青黒く染まっていくのですから、本当に不思議な犬です。

まあ、私たち日本人――モンゴロイドの蒙古斑も不思議といえば不思議ですが。

チャウチャウはものすごく愛想が悪く見える犬

飼い主に従順で忠実。 頑固で神経質。

チャウチャウの性格について解説した文章には、わりとこのような記述がされていることが多いようです。 飼い主に対して従順かどうかはとりあえず置いておくとして、筆者がこれまで出会った何頭かのチャウチャウから受けた印象は――。

ものすごく、知らない人に対して愛想が悪い。

これ、悪口ではないです。 なんというか、あのつぶれたような顔にふてぶてしい態度が、ものすごくいい感じにフィットしているんですよね。 すべてにおいて「めんどくせぇ」という吹き出しをつけたくなるような態度が、妙に魅力的な犬、それがチャウチャウなんです。

チャウチャウを本気で手に入れようと思ったら

ペットショップで探しても、チャウチャウを見つけることはできません。 となると、ブリーダーを探すしかないわけですが、人気犬種ではないチャウチャウは、量産型の犬舎を探しても見つけることはできません。 つまり、チャウチャウが好きで好きで仕方がない一般家庭か、もしくはドッグショーに関わる犬舎でしか子犬は生まれてこないんですね。

こういう場合、その血統はどうしてもせまい世界の中で完結しがちなため、遺伝性疾患や性質に関してきちんと下調べをしておかないと、後悔することになるかもしれません。 そして、健康面や性質面においてクリアな個体の場合、その価格は安いものにはならないことを覚悟しておきましょう。 筆者がここ数年で目にしたチャウチャウ子犬の価格は、安くても30万、おおむね40~50万円ぐらいだったでしょうか。

まあ、ドッグショーに出陳できるレベルの親犬から生まれてくるからこその価格かもしれませんが、逆に20万円をきっていたりすると、「何か問題があるのでは?」と勘ぐりたくなってしまうんですよね。