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犬の野生が目覚める!トライプは臭くても犬の大好物

この記事の目次

以前に比べると、愛犬の食欲が落ちてきている気がする。
でも、動物病院で検査をしても悪いところは見つからなかった・・・。
そんな飼い主さんは、「グリーントライプ」を試してみてはいかがでしょうか。
もしかしたら、愛犬の野生を目覚めさせることで食欲のスイッチが入るかもしれません。

グリーントライプは反すう動物の胃袋

「トライプ」というのは、反すう動物の第四胃のことです。
つまり、ウシ、ヒツジ、ヤギ、シカのように、一度飲み込んだ食べ物を口の中に戻して何度も咀嚼する動物の、4番目の胃袋のことですね。
4番目というぐらいですから、もちろん1~3番目の胃もあります。
しかし、生物学的にいうと私たち人間や犬の胃に相当するのは第四胃だけなのだとか。

ちなみに、私たち人間もホルモンとして反すう動物の胃袋を食べています。
第一胃はミノ、第二胃はハチノス、第三胃がセンマイで、第四胃はアカセンまたはギアラと呼ばれています。

さて、そんな反すう動物の胃袋ですが、私たちがホルモンとして食べるものはすべて洗浄や漂白がされています。
それはなぜかと言えば、徹底的に洗浄しなければ臭くて臭くて、とてもではないけれど食べられないからですね。

これに対し、グリーントライプは洗浄されていません。
グリーンというのは緑色ではなく、加工がされていないという意味。
そして、犬達のご馳走となるのはこの臭い臭い「グリーントライプ」です。

グリーントライプの中に詰まっているもの

洗浄していない動物の胃袋・・・。
気持ちワルっ!と思われるかたもいらっしゃるかもしれませんが、草食動物の胃の中身は牧草や草などの植物のみ。
別に気持ちの悪いものが入っているわけではありません。

そもそも反すう動物の胃はなぜ4つもあるのでしょうか。
それは、草や干し草といった植物の栄養は、セルロースという強固な細胞壁に守られているからです。
つまりは、そう簡単には栄養分が取り出せない仕様なんですね。

だからこそ、反すう動物は食べた草や干し草を、まずはほとんど噛まない状態で第一胃と第二胃に送ります。
すると胃の中の微生物によって食べた植物の分解が始まります。
それを胃から口に戻して咀嚼するうちに、植物は噛み砕かれながら唾液と混ぜ合わさっていくんですね。

そういう過程を経ながら第三胃へと入り、第四胃でようやく胃液や消化酵素などが分泌されるのです。
しかし、第三胃を通過するまでの間にかなり細かく分解されているため、第四胃は胃袋を一つしか持たない動物に比べると消化作用はあまり強くないものの、ちゃんと栄養が吸収できる状態まで仕上げることができる、という仕組みです。

要するに、第四胃の中身は栄養を吸収するために小腸へと送られる一歩手前の状態。
つまり、犬に食べさせる「グリーントライプ」は、この栄養が吸収できる状態になった草ごと胃袋を食べさせるものなんです。

グリーントライプは栄養の宝庫

胃袋は動物性タンパク質だからわかるにしても、胃の中身は草ばかり。
それで本当に犬の体にとって栄養になるの?と思いきや――。

反すう動物の胃に生息している微生物の働きで分解されたセルロースなどの繊維は、プロピオン酸などの有機酸を作り出し、そこからブドウ糖が作られます。
また、植物に含まれるタンパク質がアミノ酸とアンモニアに分解され、微生物の働きによってアンモニアがタンパク質に合成されることで、タンパク質の量が増えることに。
しかもビタミンB群やビタミンKといった水溶性のビタミンも微生物が作り出してくれるのです。
さらには消化液や消化酵素はもちろんのこと、乳酸菌などのプロバイオティクス、植物に含まれているオメガ3やオメガ6の必須脂肪酸などもグリーントライプには含まれています。

つまり、グリーントライプは栄養豊富なだけではなく、犬の胃腸にとって消化吸収がしやすい理想的な食べ物なんですね。

非加熱のグリーントライプは超絶臭い!

犬にとっては良いことづくめのグリーントライプ。
しかし、飼い主である私たち人間にとっての難点はそのニオイです。
はっきり言えば、超絶臭い!
まさに、牛舎だとか豚舎のようなニオイがするんですよね。
しかも、非加熱のグリーントライプでなければ消化酵素やプロバイオティクスなどを摂取させることはできないのに、非加熱と加熱のグリーントライプを比べると、明らかに非加熱のほうが数倍、いえ数十倍は臭いんです。

現在、手に入れることができるグリーントライプには加熱(缶詰やドライフード)と非加熱(冷凍もしくは低温フリーズドライ)の両方があります。
飼い主の鼻的には間違いなく加熱のほうが耐えられます。
さらにはニオイに悩まされずに保存ができるところもメリットなんですよね。
しかし、栄養や消化吸収の面では間違いなく非加熱タイプが上。
どちらを選べばいいのか、なんとも悩ましいところではないでしょうか。

腎不全の犬の野生を目覚めさせたグリーントライプの強烈なニオイ

しかし、この強烈なニオイ。
犬にとっては食欲をそそるニオイであることは間違いありません。

「グリーントライプは犬のスーパーフード」
「犬が泣いて喜ぶ」
「グリーントライプが嫌いな犬を見たことがない」

こんなキャッチコピーがうたわれているのもうなずけるほど、確かにグリーントライプを前にすると犬の目の色が変わるんですよね。
実際に我が家でも試してみたところ、慢性の腎不全で食欲がガタ落ちだった犬までが、目をひんむいてガツガツと食べたのです。
その顔たるや、今までに見たことがないような野生の雰囲気に満ちあふれていました。
この子もこんな顔をするのかと本当に驚かされましたし、食欲のスイッチが入ったことは本当に嬉しかったです。

加熱と非加熱を上手に使い分ける

非加熱のグリーントライプは栄養の宝庫。
しかし、これだけを大量に食べさせてしまうと、おそらく体が慣れていないワンちゃんは、お腹がゆるんでしまったり、嘔吐してしまう可能性があります。

そもそもグリーントライプは総合栄養食ではありません。
つまり、非加熱のグリーントライプは栄養を補完する目的で食事に少量加えることがベストなんですね。
そして加熱されたグリーントライプは非加熱のように酵素やプロバイオティクスを摂取させることはできないものの、総合栄養食タイプを選べる手軽さが最大のメリットです。

どちらが良い悪いというより、愛犬の体調などを考慮して使い分けていくこと。
これこそが、グリーントライプの恩恵を十二分に受けられる方法ではないでしょうか。