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夜にしか散歩できない犬は病気になる?

この記事の目次

共働きや一人暮らしの飼い主さんは、
犬の散歩を夜間にしかできないこともありますよね。

そんなとき、ふと思ったりしませんか?
「犬をあまり日光にあてていないけれど、健康に影響はないだろうか?」と。

日光浴はビタミンD合成のため?

太陽光線にきちんとあてていないので、骨の病気にならないかと心配なんです。
……と、ある飼い主さんから相談されたことがあります。

うーん、これはかなり昭和なお母さんの発想かもしれません。

健康な骨のために、赤ちゃんには一定時間の日光浴を、
というイメージからきているのでしょう。

いわゆる、日光浴によって体内でビタミンDの合成を促さないと、
カルシウムが吸収されない、というやつですよね。


実はこの理屈、紫外線による害悪が問題視されている現代では、もう推奨されていません。
母子手帳から日光浴の記載も消えて久しくなりました。

というか、そもそもこれは人間の話しであり、犬の体にはあてはまりません。
犬の体は人間と違い、日光浴によって
ビタミンDが効率よく形成されるようにはできていない
んですね。
ということは、日光にあてないとビタミンDが不足する、という図式はそもそもが成り立たないんです。

つまり、犬にビタミンDを摂取させようと思ったら、
食べ物やサプリメントで補う必要がある
わけです。

人間と同じような感覚でカルシウムをたくさん摂取させ、
日光を浴びさせればビタミンDが合成されて強い骨の犬になる!
というのは正しくありません。

犬に日光浴が必要な理由

とはいえ――。
ビタミンDの合成には関係がないのであれば、犬は日光にあたらなくてもよい、とは思えません。

というのも、犬という生き物が暮らす世界では、日中は太陽の光によって明るく、夜は暗闇になるのが普通だからです。
実際に、朝日にあたることで犬の体内時計はリセットされています。
当たり前のことのように思いますが、この体内時計が狂ってしまうと、痴呆を発症した犬などは昼間にずっと眠り、夜間に目を覚まして鳴き続けてしまうこともあります
この夜鳴きは痴呆の犬を介護するうえで、飼い主さんを苦しめてしまう筆頭にあげられる状態。
それを防ぐためも、朝日の力はとても重要なんです。

また、セロトニンというホルモンを分泌させるうえでも日光は欠かせません。
セロトニンが関係している精神的な働きといえば、安定と意欲。
つまり、セロトニンが不足してしまうと精神的に不安定になりやすくなり、問題行動を起こしやすくなってしまうんです。
こういったことから考えても、犬にとっての日光は骨の健康のために必要なのではなく、精神的な面を安定させるために必要なのだということがわかるのではないでしょうか。

さらには、爽やかな気候の昼間に大好きな飼い主さんと外に行けるとしたら、
犬にとってはどれほど嬉しいことでしょうか。

つまりは、ビタミンのためだとかそういう理屈ではなく、
地上に生きる哺乳類として日光は普通に必要
なのでしょう。

毎日じゃなくてもOK

普段は夜間にしか散歩に連れ出せないからといって、悲観することはありません。
お休みの日の昼間、愛犬と楽しく散歩をすればいいだけのことです。

もちろん、気温が高い季節なら早朝に連れ出すなどの配慮は必要ですが、
毎日日光のある時間帯に外に連れ出さなければいけない、
と思いつめる必要はないのではないでしょうか。

たとえ1週間に1日、1ヶ月に1日しか昼間の散歩に連れ出してやれなかったとしても、
自分に可能な範囲で愛犬と一緒に明るい時間帯の散歩を楽しんでください。

なぜなら、飼い主の心がリラックスしていることが、
犬の気持ちをより安定させてくれる
からです。